一周忌を終えて

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夫の母の一周忌だった。
昨年の3月17日、夫の母は59歳の若さで永眠された。肺癌からの脳転移だった。
数年前から「背中が痛い」とよく訴えるようになったが、病院嫌いのお義母さんは頑なに病院に行かなかった。病院に行った時には末期癌の状態であり、余命宣告もされ、ドラマのような展開が現実で起きていることに家族全員受け入れられず、唖然となった。
余命半年と宣告されたが、お義父さんの献身的な介護、高度な医療も受けたりして、4年半年在宅で闘病生活を過ごすことができた。
その間、17回の入退院、3回の開頭手術(頭を開けて、腫瘍を取り除く手術)を受けた。お義父さんは介護に専念するために、仕事も辞めた。
「今年は桜が見れるかな」と毎年、家族でお義母さんの回復を祈り、「今年は見れたね」と喜んだ。そして、去年3月17日に永眠された。穏やかに、、、とはいえなかったかな。長い治療に最期は息も苦しくなったり、見ていて苦しそうだったから。
お義母さんの癌が発見された時、娘は一歳だった。初孫である娘を、とても嬉しそうに可愛がってくれた。ただ、その頃、私も仕事復帰と育児の両立にメンタル不調、体調不良に陥り、自分達の生活を送ることで必死だった。
月に1.2回、義実家に行き孫の顔と成長を見せて喜んでもらう。それがその当時、私達にできる精一杯の援助だった。
子育てと仕事に余裕ができた今、そして訪問看護師として働き始め在宅で過ごす患者さんと関わる中で、「あの頃、もっと何かできたのじゃないかな」と反省と後悔の気持ちを抱くことが多々ある。
でも、あの時はできなかった。過ぎてしまったことはこれ以上、後悔しても仕方がない。なので、今できることをしようと思う。それが、お義父さんの心のケアなのかなと思う。
お義父さんは仕事も辞め、一人の生活となり、寂しさと孤独と闘っている。幸い、料理や家事なんでも器用にできる人なのでその心配はないし、なんなら、私達にとても美味しい手料理を振る舞ってくれる。
近所に住んでいるので、月に1.2回孫の姿を見せて一緒に晩御飯を作り食事をする。
義実家とは正直、最初は(娘が生まれる前)あまり良い関係を築けなかった。
義実家に行く時は正直「行きたくないな」という気持ちが大きく、帰ってきたら「やっと帰ってこれた。これでしばらく行かなくてもいいかな」という安心の気持ちが大きかった。それが、娘が産まれて、会話も増えて、徐々に距離も縮まっていった。それでも、まだ義実家に行くことは気分的にしんどいものがあった。(理由は多々あり)
お義母さんが亡くなった今、色々な感情をお互いが整理できるようになり、ようやく心の距離が縮まり、本音で話もできるようになった。お義母さんは気が強くて、気難しい人だった。複雑な家庭環境で育ったのもあるのか、感情の表現をすることが苦手で素直な気持ちを表出できなかった。怒りっぽく、すぐに喧嘩腰になる。なので、よく人とは喧嘩になるし、良い関係を築くことが難しい人だった。
それでも、私に対してはとても優しかった。(息子である夫にはとても厳しかった)直接、嫌なことを言われたりされたりした経験はなかった。それだけが救いだった。
お義母さんが亡くなった後、家族で遺品整理をしていた時にお義母さんの時計をもらった。もらった時計はすでに電池も切れていた。夫は時計屋さんなので夫に修理と電池交換をしてもらい、それから仕事の日以外は毎日身に着けている。
お義母さんの形見。大切にするね。天国から見守っていてね。

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